当事務所の特徴
Feature01
圧倒的経験数に基づくノウハウ
当事務所では、これまでに非常に数多くの倒産・事業再生事件(300社以上)を経験しております。どんな案件であっても、依頼者を混乱や不安にさせることなく事件を処理することができます。
また、依頼者の負担軽減を第一に考え、事業停止日から通常約1か月から2か月程度のスピードで裁判所への申立てを行います。
Feature02
事業譲渡型案件にも対応
当事務所では、事業譲渡や居抜を行った上での破産申立てなど、事業再生案件についても非常に多くの経験を有しております。
破産直前の事業譲渡等は、破産法の関係から制約が多くありますが、適法かつ適切な事業譲渡は、かえって債権者を含めた関係者に資する結果を生むものであり、積極的に取り組んでまいりました。譲渡先や従前の取引先、さらには賃貸人との交渉まで当事務所にて対応可能です。
Feature03
大型案件・多店舗案件等にも対応可能
当事務所では、これまでの経験数の多さから、数十店舗の小売店やサービス店を運営する会社や、数千人に預かり品の返還を要する会社の倒産申立てなど、大型案件や対応困難な案件にも取り組んで、確実に結果を出してまいりました。
他の法律事務所に受任を断られた会社の申立て経験も多数ございます。そのような場合にも、ぜひご相談ください。
Feature04
ご家族や私生活への影響も配慮
元銀行員である弁護士を中心に経験豊かな弁護士が、銀行や債権者とスムーズな交渉を有利に行います。また、所員らについても専任スタッフが依頼者への誠意のある対応を徹底しております。
手続きを行う上での心配事は、事業や従業員のことだけでなく、ご家族や私生活のこともあろうかと思います。当事務所にご相談いただくことで、解決方法がきっと見つかります。
Feature05
従業員への対応・手続きをサポート
倒産申立てに際し、従業員に関する手続きは少なくありません。倒産申立ての準備に入る際の従業員に対する説明会には、弁護士とスタッフが同行します。また、離職票の発行に必要な手続き、解雇予告手当の計算・支払い等、解雇に伴う様々な手続き・書類作成についても当事務所や提携社労士事務所にてサポートさせていただきます。
Feature06
不適切会計等の対応も可能
会社の資金繰りが苦しくなってくると、様々な方法で資金調達を試みるなど、他人には話しづらい経理処理等をしていることもあろうかと思います。
このような場合でも、隠ぺいするのではなく、過去と真摯に向き合うことで、きっと対応方法は見つかります。当事務所が、どのようなケースであっても、最後まで全力でサポートさせていただきます。
よくある質問
- 破産手続終結までの
期間について - 破産申立までの
準備について - 破産申立後の
破産者の制約について - 破産申立の
費用について - 破産申立と
未払賃金等について - 敷金・保証金を
破産申立費用に利用できるか - 法人を破産させた場合に
代表者の破産は必要か - 破産申立した場合に
代表者の自宅はどうなるか - 破産申立した場合に自動車を
使い続けることは可能か - 破産申立受任期以降における
注意事項
破産手続終結までの期間
依頼者(主に会社代表者)や会社の従業員にとって、今後の生活設計や手続きに対するモチベーション維持のためにも重要となる「破産手続終結までの期間」というテーマに焦点を当て解説します。
破産手続終結までの期間について
一般的には、おおよそ以下の流れで、破産事件(管財事件)の手続が進みます。
- 正式受任・受任通知
- ↓ (受任通知は、通知先一覧を頂き次第通知します。)
- 申立準備
- ↓ 1ヶ月~約3ヶ月(不動産の事前処分等がない場合は原則として1ヶ月強で申立て可能です。)
- 破産手続開始申立
- ↓ 2週間~1ヶ月
- 破産手続開始決定
- ↓ 約3ヶ月
- 第1回債権者集会(裁判所への出頭)
- ↓ 約2ヶ月~半年(2回以降、開催される場合は、約2ヶ月以内で出頭日が設定されます。)
- 破産終結・破産手続廃止決定
-
※以下、代表者について同時申立した場合の代表者個人の手続き
↓ 約10日
免責決定
↓ 官報掲載翌日から2週間経過後
- 免責確定(資格制限の解除)
-
名古屋地方裁判所の場合は、おおよそ上記の期間配分で手続が進むことから、法人破産事件の場合、依頼を受けてから半年~1年2ヶ月ほどで終結することが多いようです。(他の管轄裁判所によっては、破産申立ての3日以内に裁判官と弁護士が面談を行いその日のうちに破産手続きの開始決定がされ、期間短縮がなされる場合もあります。)
また参考までに、平成25年度の司法統計によると、「破産管財事件(但し、個人事件、個人事業主事件含む)」の審理期間別統計を見ると、以下のとおりとなっています。
全管財事件 :申立から半年で約51%、1年で約83%の事件審理が終了
(内訳)
うち配当事件 :申立から半年で約16%、1年で約66%の事件審理が終了
うち無配当事件:申立から半年で約64%、1年で約90%の事件審理が終了
上記統計結果からも分かるとおり、管財事件になる場合は、申立後半年~1年程度の期間が破産手続きに必要な期間といえます。
まとめ
以上のことを総合的に判断すると、法人破産事件(管財事件)を弁護士に依頼する場合、通常、依頼から終結までに半年~1年半弱の期間をご予定いただければ良いと思われます。
但し、負債額や財産の配当状況等、案件のボリュームによっては、申立前の準備期間や配当期間に影響し、期間が変わることがあります。
破産申立までの準備
依頼者の方は、弁護士に破産申し立てを依頼したものの、どのタイミングでどのような準備が必要なのか不安に思われることが多いようです。依頼者の方の協力が必要となる「破産申立までの準備」をテーマに解説します。
準備時期と主な破産準備の内容について
申立の準備において大切となる時期は、主に弁護士に依頼した直後の準備初期段階です。
主な準備のタイミングは以下の〈準備1~4〉の段階となります。
- 弁護士へ正式依頼
- ↓〈準備1〉
- 受任通知発送
- ↓〈準備2〉
- 申立準備
- ↓ 1ヶ月~約3ヶ月〈準備3〉
- 破産手続開始申立
- ↓ 2週間~1ヶ月〈準備4〉
- 破産手続開始決定
- 準備・対応していく内容としては、大きく分けて「負債」「財産」「早期対応事項(労働者対応・各種処分対応等)」の3つに分類されます。
準備1 「負債」関連
債権者に対する受任通知を発送するためにも負債関連資料や債権者情報をご準備ください。
主な資料
債権者からの請求書・督促状、各種契約書 等
準備2 「早期対応事項(労働者対応・各種処分対応等)」関連
売掛金の回収、従業員の解雇・未払賃金の事前支払い、賃借物件の明け渡し等、申立前において迅速に処理対応すべき事項についての資料をご準備ください。それらに必要な具体的な対応を弁護士が行います。
主な資料
売掛金請求書、預り手形、賃金台帳、就業規則、決算書、契約書類 等
準備3 「財産」関連
事業停止時の財産保全を行うため、各種財産資料の確保、財産情報をご準備ください。
主な資料
通帳、各種証券、車検証、不動産権利証、在庫・備品等リスト 等
事情聴取
弁護士への依頼時以外に、〈準備2及び3〉の段階で、依頼者の方と弁護士または事務職員との打合せを1、2回程度設け、事業の開始から支払不能に至った経緯の詳細のほか、書類・資料から存在が疑われる財産の有無と内容について確認・聴取します。
その際、債権者に対する公平な財産の分配を妨げるような事情や、直近の一定の期間内に依頼者の方が財産を不当に処分したり隠匿したと疑わせるような事情がないか等も聴取します。
以上の〈準備1~3〉を経て、破産申立書を作成し、依頼者の方にご準備いただいた証拠書類と合わせて裁判所に提出します。
準備4
申立後、裁判所からの要請で提出書類の不備・追加資料を準備し、提出します。
なお、破産手続開始決定後については、破産管財人からの要請で、追加提出書類等の準備が必要になることがあります。
何をしたらよいかわからないと不安に感じることも多いと思いますが、破産申立の準備については、弁護士主導のもと、依頼者の方の状況に合わせて進むことになりますのでご安心下さい。
ご注意いただきたいのが、弁護士への依頼後、破産手続に入ると、これまで代表者の判断でしていた行為が、内容によっては円滑な破産手続にブレーキをかける結果となってしまうことがあります。(財産隠しや偏頗弁済※といった行為とみなされ、手続が遅延したり代表者の免責決定に影響する等)
くれぐれも弁護士にご相談の上、ご対応下さい。
【補足】※偏頗弁済
債権者間の平等を害する行為で、特定の債権者だけが弁済を受けたり担保の提供を受けたりする行為。(破産法162条)
破産申立後の破産者の制約
破産申立後、一時的に「破産者」となることで何らかの制約を受けるのではないかという不安を少しでも解消していただくため、「破産申立後の破産者の制約」をテーマに解説します。
制約の期間
制約を受ける期間については、基本的に以下の期間となります。
- 破産手続開始決定
- ↓ 約3ヶ月
- 第1回債権者集会
- ↓ 約2ヶ月~半年
- 破産終結・破産手続廃止決定
-
以下、代表者について同時申立した場合の代表者個人の手続き
↓ 約10日
- 免責決定
- ↓ 官報掲載翌日から2週間経過後
- 免責確定(資格制限の解除)
-
これに加え下記の「破産終結後の制限」があります。
具体的な制約内容
主に「管理処分権の喪失」「自由の制限」「資格の制限」「破産終結後の制限」「その他の制限」の5つがあります。
管理処分権の喪失
破産開始決定時まで管理していた自己の財産、所有物についての管理処分権を失い、破産管財人に引き継がれます。つまり、以前のように勝手に処分(譲渡、売却、移転、解約等ができなくなります。
但し、破産手続開始決定後、稼いだ給料、親から援助してもらうなどして取得した財産は、新得財産といい、破産者が自由に管理・処分することができます。
自由の制限
- (1) 説明義務
破産者、破産法人の代表者、取締役、執行役等は破産管財人などの請求により、破産に関し必要な説明をしなければなりません。説明を拒んだり、虚偽の説明をしたときは、刑事上の処罰を受けることがあります。 - (2) 居住の制限
破産者、破産法人の代表者、取締役、執行役等は裁判所の許可無く居所を離れることはできません。必ず事前に裁判所への許可申請が必要です。 - (3) 通信の秘密の制限
破産者宛の郵便物(信書便物含む)については、破産管財人に転送されます。転送された郵便物について、破産管財人は開封して見ることができます。
なお、破産者は破産管財人に対し、閲覧もしくは破産財団に関係のない郵便物等については交付を求めることができます。 - (4) 引致・看守
裁判所が自己破産した人の身柄を拘束する必要があると判断した場合、破産者は裁判所によって身柄を引致(拘束)されることがあります。
資格の制限
警備員や生命保険募集人などの一定の職業・資格などに一時的に就けなくなります。
但し、一生その職業・資格などに就けなくなってしまうという事ではなく、あくまで上記期間での資格制限です。終結後、当然に就業・資格制限はなくなります。
破産終結後の制限
- (1) 免責確定後、原則7年間は再び自己破産をすることができません。(2度目の破産の際の不許可事由に該当するため。)
- (2) 個人信用情報機関へ記録され新規借入、クレジット作成等が約5~10年間は難しくなる可能性があります。(但し、金融機関によって扱いは異なります。)
その他の制限
- (1) 破産者が免責許可の決定を受けていない場合に限って本籍地の市町村役場にある破産者名簿に記載されます。(免責確定後、抹消されます。一般人の方は閲覧できません。)
- (2) 国が発行する官報に破産決定と免責決定の2回掲載されます。
(誰でも購入し、見ることができるものですが、基本的に一般の人が見ることは滅多にないかと思います。)
まとめ
破産申立後に特にご注意いただきたいのは、主に「管理処分権の喪失」「説明義務」「居所の制限」「郵便物の転送」です。
いくつかの制約はありますが、破産申立依頼後すぐに再就職していただくこと(上記資格制限除く)もできますし、手続期間中であっても、普通の生活を送ることに特別支障をきたす事は少ないかと思います。
また、免責確定後は、一定期間の制約を受けるものの、戸籍への記載、選挙権、職業にも影響は無く、普通の生活を送ることが十分可能です。
これらは依頼者の方の置かれた状況や個人差によって千差万別です。破産申立は不安や疑問の多い手続きではありますが、弁護士を始めとしたスタッフ一同で可能な限りサポートさせていただきますので、ご安心ください。
破産申立の費用について
破産申立手続きを弁護士に依頼する上で、一番気になる点でもある「破産申立の費用」をテーマに解説します。
破産申立手続きに必要となる費用
破産申立手続きを進める上で必要となる費用には、大きく分けて「裁判所へ納める費用」と申立代理人へ依頼する際に必要な「弁護士費用」の2つがあります。
裁判所へ納める費用
破産手続き上、次のような費用を裁判所に納める必要があります。
- (1) 収入印紙(申立手数料)
- (2) 郵便切手代(書類等の郵送料)
- (3) 予納金(官報公告費用・破産管財人への報酬等)
上記(1)(2)については、どこの裁判所に申し立てるかによって金額にやや差異はありますが、納付金額は数千円程度です。
一方、上記(3)の予納金については、破産事件の類型及び負債総額によって納めるべき金額に大きな差があります。
また、各類型については、換価できる財産の有無や破産開始決定後の財産処分等の業務量(つまり、破産管財人の手間度合い)等、一定要件を満たすか否かによって、決定します。
名古屋地方裁判所における類型ごとの主な予納金基準額は以下の通りです。
- 通常管財事件(通常の破産申立事件)
-
- ・負債総額1億円未満 法人:60万円、代表者:40万円
- ・負債総額1億円以上 法人:80万円、代表者:60万円
- ・負債総額3億円以上 法人:100万円、代表者:70万円 等
- 少額管財事件(一定要件を満たせば、通常管財より少額で行える手続)
-
- ・負債総額に関わらず 法人:20万、代表者:20万
但し、法人・代表者共に少額管財事件申立を同時に行った場合、合計30万(法人:20万、代表者:10万)
- 同時廃止事件(各財産の価値が、いずれも一定金額を下回る場合に取れる手続)
-
-
・負債総額に関わらず 1万1859円(但し、免責許可申立てをする場合)
通常、代表者等の個人が対象となります。
なお、管財事件については、官報公告費用として法人1万4786円、代表者1万5499円(令和元年10月1日現在)が別途必要です。
-
弁護士費用
弁護士費用については、通常、負債総額や申立前における確認調査事項のボリューム等を総合的に判断して金額を決定いたします。
基本的な金額設定については、以下の表をご参照ください。
法人破産申立の受任の場合
負債総額 | 弁護士費用(法人・代表者合算) |
---|---|
5000万円以下 | 50万円+税~ |
1億円以下 | 100万円+税~ |
5億円以下 | 200万円+税~ |
10億円以下 | 300万円+税~ |
50億円以下 | 500万円+税~ |
50億円超 | 700万円+税~ |
- 上記はあくまで基本的な条件(負債総額)のみで算出した法人の弁護士費用の目安金額です。
その他、ご依頼者様ごとのご事情(債権者数、従業員数、賃借物件の明渡し件数等)を始め、処理内容(仕掛工事の継続、事業譲渡、不動産の任意売却、各種初動処理等)に応じ、費用が変更となりますので、詳しくはご相談時にお尋ねください。 - なお、上記金額には裁判所へ納める「予納金」は含まれておりません。破産申立てには、上記費用の他に予納金が必要となります。予納金の詳細については上記の「裁判所へ納める費用」をご覧ください。
費用の捻出方法
以上のような費用が必要であるとしても、元々破産をしなければならない状況におかれた依頼者にとって、実際に費用が捻出できるのかどうかが不安な点かと思います。
実際、費用捻出については以下のものを含め、状況に応じて様々な方法が考えられますが、可能であれば、以下(1)~(5)のような財産が残っている段階で、事前換価等により捻出された金額を、破産申立の費用にする方法が望ましいでしょう。
- (1) 未回収の売掛金
- (2) 敷金・保証金・営業保証金
- (3) 所有車両等の財産の売却代金
- (4) 店舗施設の売却(居抜き)代金
- (5) 保険の解約返戻金
- (6) 代表者等の親族からの援助
- (7) 新たな収入による積立金 等
なお、代表者について同時に破産申立を行う際、会社の財産処分金額で代表者の予納金を賄うことはできません。あくまで、法人と代表者は別人格・別事件であることにご注意下さい。
まとめ
会社を可能な限り存続させたいという想いは、どの経営者も同じはずです。
しかし、無理な経営を継続し、費用捻出の可能性が経たれた状況でやっと弁護士に相談する、というケースが少なくありません。
そうなると、自身での積立てや親族からの援助を検討せざるを得なくなり、更に時間と労力を要する結果となってしまいますので、一日も早く弁護士にご相談いただくことをお勧めします。
なお、どうしても限られた費用の捻出しか準備できず、必要な金額が不足していたとしてもあきらめないでください。予納金については、裁判所の裁量によって減額交渉に応じてくれる可能性もあります。
破産申立と未払賃金等
破産申立を行うにあたり、早急に対応が必要となる従業員への対応に焦点を絞り、「破産申立と未払賃金等について」をテーマとして解説します。
未払賃金等への対応
主に、破産手続きにおける労働債権には以下のものが存在します。
(但し、以下(1)~(3)が労働債権の全てではありません。)
- (1) 未払賃金にあたる破産手続開始前3カ月間の賃金債権
- (2) 未払賃金にあたる退職前の3カ月間の賃金額(手続開始前3カ月間の賃金額の方が多い場合はそれによります)
に相当する額の退職金債権 - (3) 解雇予告手当
上記(1)及び(2)については支払いが最優先される『財団債権』となり(破産法149条)、配当手続を待つまでもなく、随時弁済を受けることができます。
上記(3)については、(1)及び(2)に劣後する『優先的破産債権』となり、配当手続では優先的に弁済される可能性があります。
労働者保護の観点からも、上記未払賃金等の支払いを可能な限り、早い段階で実現するため、実務上、以下のような方法をとることが多くあります。
財産が見込める場合の方法
弁護士へ依頼をする段階で会社に何らかの財産(売掛金等)が残っている場合は、上記でも記したとおり、申立前において労働債権を優先的に支払うことが可能です。
基本的に、財団債権である(1)及び(2)から順番に支払うことになりますが、申立時点で(1)及び(2)の「直近の未払賃金」と(3)の「解雇予告手当」双方の支払が困難である場合は、実務上、順番において劣後する(3)の「解雇予告手当」を先に支払うことが望ましいと考えられています。
その理由として、(3)の「解雇予告手当」は、後述の「財産が見込めない場合の方法」で紹介する「未払賃金立替払制度」利用の対象外であること、配当手続きでの弁済を期待すると税金などの財団債権の弁済が優先されてしまうことなどから、上記のような取扱いが労働者保護にも資することになるためです。
このような「解雇予告手当」を先に支払う取扱いは、有害性も不当性も認められず、破産手続との関係でも特段の問題は生じないと解されています。(「中小規模裁判所における破産事件処理の在り方」金融法務事情1982号16頁引用)
財産が見込めない場合の方法
未払賃金を支払うだけの財産が見込めない場合には、独立行政法人労働者健康福祉機構(以下「機構」といいます。)による未払賃金の立替払を行う方法で労働者の賃金を一部立替えることができます。
企業が倒産したために、賃金が支払われないまま退職した労働者に対し、未払となっている賃金の一定額(請求日までに支払期日が到来している2万円以上の賃金債権で、原則として未払分の8割に相当する額)について、機構が会社に代わって立替払を行う制度となり、破産手続きを通して行われます。
なお、未払賃金立替払制度の利用については、財産が見込めないときに限らず、財産が見込まれる場合にも利用が可能です。
但し、手続きに時間を要することから、労働者保護の早期実現を優先し、上記「解雇予告手当」関連の場合や財産処分金額で弁済できず未払賃金が残る場合に多く利用されます。
まとめ
未払いとなっている賃金を受け取ることができるかどうかは、従業員にとって重大な問題です。処理の遅延や不親切な対応等によっては、これまで共に歩んできた従業員が労働基準監督署に訴え、労働基準法違反(賃金未払)で刑事告訴されるケースも少なくありません。
破産手続きをしなければならない状況に置かれていることから、従業員が希望する内容を全て叶えることは難しいですが、労働者保護の観点からも、多岐の方法を兼ね備え、迅速かつ真摯に対応することは非常に大切です。
破産申立となってから焦って対応するのではなく、見込み財産及び労働者関連の資料(従業員様情報資料、給料明細、賃金台帳等)をご準備いただき、お早目にご相談ください。
敷金・保証金を破産申立費用に利用できるか
破産申立に要する費用の捻出方法のうち、「敷金・保証金」に焦点を絞り、「敷金・保証金を破産申立費用に利用できるか」をテーマに解説します。
敷金・保証金を破産申立費用に利用できるか
通常、依頼者が賃貸借契約をしている倉庫や工場、店舗等の敷金・保証金については、原状回復の上明渡しが完了すれば、申立前であっても返還される対象(財産)として扱われます。
そして、敷金等は破産手続き上の換価配当予定の財産(破産財団)ですので、破産申立に必要な費用(予納金や弁護士費用等)への充当は、破産申立前であっても行うことができます。
しかし、未払い賃料や原状回復費用などの問題から、敷金等の返還を受けることは簡単ではありません。
そこで、敷金等の返還を受け、破産申立費用に利用することができる例として以下のような方法をご紹介いたします。
居抜きによる中身の売却と物件明渡しを同時に行う方法
これは同じ職種の新たな賃借人を見つけ出し、「居抜き」という形で物件の中身をそのまま新賃借人に売却する方法です。実際には原状回復することなく、そのまま明渡しを完了させることができます。
(例:飲食店の店舗内設備を現状のまま売却し、元賃借人の明渡しと新賃借人の再契約を同時に行う場合 等)
賃貸人としては、新賃借人が契約を引き継ぐので、通常、不利益は生じません。
また、新たな賃借人にとっては初期費用を抑えることができるメリットがあります。元賃借人においては、居抜きによる売却代金と敷金等の返還がなされることから、3者ともに不利益が生じることは少ないといえます。
破産手続きにおいても、不当に財産を減らすわけでもなく、新たな債権を増やすわけでもないので、通常問題になることはありません。
もちろん、未払い賃料の残額や各種契約条項によって敷金等の返還額は異なりますが、仮に敷金等の返還が見込めなかったとしても、居抜きによる売却代金や元賃借人が不必要な什器備品の売却代金等も見込めることから、こうした方法を取ることで、破産申立費用を捻出することが可能となります。
〔補足〕新賃借人の探し方
新賃借人の探し方は、知人などを頼りに自分で探してもよいですが、当該物件を紹介してくれた管理会社等があれば、その会社に打診してみることをお勧めします。
管理会社等においても、手が付けられなくなった状況の物件を扱うよりも、ある程度付加価値がある状態の物件情報を流す方が、新賃借人を見つけ出しやすく、不利益も最小限に抑えられるため、協力に応じてくれることが多くあります。
その他注意点
リース物件(エアコン、複合機等)は居抜きによる売却対象とはなりませんので、売却前にリース会社へ返却が必要です。
また、廃棄物が残る場合は、賃貸人側、元賃借人側もしくは新賃借人側のうち、誰がどのように負担をして処理を行うか取り決める必要があります。
まとめ
上記はあくまで敷金等を破産費用に充当する方法の一例です。このような形で円滑に進めばよいのですが、債権者となる可能性がある賃貸人の非協力的な態度や、契約内容によっては、一定期間経過しないと敷金が返還されない又は半額償却などの特約があるなど、思いもよらない落とし穴があったりします。
事前にご自身で進められている場合もあるかと思いますが、まずは契約書をしっかりご確認いただくと共に、弁護士にご相談され専門家主導で進めることをお勧めします。
法人破産に伴う代表者の破産申立は必要か
法人破産における代表者の破産に焦点を絞り「法人破産を行う場合に代表者の破産申立も必要なのか」をテーマに解説します。
法人破産に伴う代表者の破産申立は必要か
結論から申しますと、破産手続きにおいては、法人も代表者も別人格(「法人の債務と財産」、「代表者様個人の債務と財産」と分けて扱われます)として扱われるため、法人が破産したからといって、代表者も必ず破産しなければいけないわけではありません。
なお、個人事業主の方は、事業規模にかかわらず、個人(法律的には「自然人」といいます)として扱われるため、屋号と代表者名が異なっていたとしても、一括りで破産することになります。破産手続では、「申立人 ○○商店こと△△(代表者名)」とされます。
しかし、法人と個人が別人格であっても、通常は金融機関やリース会社等との各種取引で、代表者が法人の連帯保証人になっていることが多いため、法人が支払えなくなった債務を一手に引き受けることになってしまいます。そうなると、代表者個人の財力だけでは今後多額の返済を行っていくことが困難であったり、法人として債務超過の状況になるまで代表者の財産も法人の運転資金に充当している可能性が高いことから、通常は法人破産と同時に代表者の破産を申立てることがほとんどです。
一方で、代表者個人として、どうしても破産できない事情(例えば、他の連帯保証人には迷惑をかけられない、住宅を手放せない事情があるが住宅を残す他の方法がない 等)がある場合は、やはり代表者の破産手続きを避ける方法を検討したいところです。
このような場合、以下のようなことを検討できる環境であれば、代表者として破産手続きを回避することも考えられる可能性が出てきます。
- ・今後の返済計画が組めるような財政状況が見込める
- ・代表者が今後返済出来るだけの新たな収入源を確保する見込みがある
- ・身内や親族からの一時的な援助が見込める 等
但し、注意する点があります。法人の破産申立を行った場合、代表者個人としての債務に加え、法人の連帯保証債務が突然のしかかってきます。代表者自身が全ての債権を把握しきれておらず、予想していたよりも債務が多額であることに気付き計画倒れになることが多くあるという点です。
また、返済等に関して各債権者と任意の交渉が必要となり、これらは難航が予想されます。
まとめ
法人破産を準備していく過程で、代表者の債務についても並行して確認を行い柔軟な処置をしていくこととなります。
代表者個人の破産申立回避を検討する場合には、早めに弁護士にご相談いただき、法人破産と総合的判断の上、進めることをお勧めします。
破産申立をすると自宅はどうなるか
破産に伴う財産処分のうち、不動産の中でも特に自宅に焦点を絞り、「破産申立をすると自宅はどうなるか」をテーマとして解説します。
破産申立した場合に代表者の自宅はどうなるか
破産手続上において、不動産を含め所有している「モノ」については、法人、個人それぞれ別の財産として扱われ、それぞれの破産手続き上で、通常、処分(売却等)・換価の上、各債権者へ配当されていく対象となります。
代表者の自宅についても、それが代表者個人の所有であり、代表者自身も破産申し立てを行うのであれば、原則は代表者が『所有者』のまま使用し続けることはできず、通常であれば手放すこととなります。
主な処分(売却等)・換価方法は、以下のとおりです。
- (1) 管財人による任意売却
管財人主導で各抵当権者と交渉の上、任意で売却内容を決定していく方法。
買主が見つかれば、強制競売の申立よりも高値で売却される可能性があります。 - (2) (根)抵当権者による担保不動産競売の申立
(根)抵当権者(金融機関等)による裁判所への競売申立により、一般入札の上、強制的に担保不動産を売却する方法。
強制競売は任意売却に比べ落札額が低くなってしまう傾向があります。 - (3) 破産申立代理人による任意売却
破産申立前に申立代理人主導で、各抵当権者と交渉の上、任意で売却内容を決定していく方法。
買主が見つかれば、強制競売よりも高値で売却される可能性があり、また、売却代金の一部を破産申立費用に充てることができることもあります。さらに、知人等に買い取ってもらえた場合には、買主から『借りる』ことで自宅を継続してしようすることも可能です。
〔補足〕即時退去の必要性の有無
仮に自宅を手放すことになったとしても、代理人に依頼した段階や破産申立をした段階で、すぐに退去しなければならない訳ではありません。
実際に、売却するには買主が見つからなければいけませんし、各種手続を取るにしても、相応の時間(半年から1年以上:担保不動産競売においては、開始決定より半年から1年以内。)を要することとなり、通常、新居を探すだけの時間は十分にあります。
但し、代理人へ依頼する段階で、既に担保不動産競売申立や手続の開始決定がなされ、期間的に切迫している場合もありますので、ご注意ください。
自宅を残す方法はあるのか
それでは、自宅を残す方法は全くないのでしょうか?
上記のとおり、原則として自宅を『所有者』として手元に残すことは困難です。
しかし、実質的な問題として、自宅を手放さずに済む方法がないかというと無い訳ではありません。
『所有者』として自宅に住み続けることは難しいですが、「『所有者』ではなくなるが自宅に住み続ける」という状況を作り出すことで、自宅を手放さないことが可能となります。
具体的な例として以下のような方法をご紹介いたします。
『所有者』ではなくなるが自宅に住み続けることができる方法
それは、上記(3)でも少し触れましたが、親族、知人等に自宅を購入してもらうことで、住宅ローンを賃料という形に変え、住み続けるという方法です。
具体的には、依頼者側で可能な限り買付候補者の目星をつけておいていただき、弁護士への相談と同時に任意売却の方向性で売却交渉を進めることとなります。
ただし、親族への売却を希望する場合、多くの金融機関では購入者である親族が住宅ローンを組むことができません。住宅ローンの利用を希望する場合には、親族であっても住宅ローンの組み直しが可能である金融機関を探す必要があります。
また、任意売却を進める以上、全(根)抵当権者の了承が必要(つまり全抵当権者を納得させ、(根)抵当権を抹消させることが必要)となりますので、弁護士を介しての交渉である方が、売却を円滑に進めるためには有利といえます。
個人再生申立手続きにより住宅を残す方法
破産申立手続とは異なりますが、住宅ローンの残っている自宅を残しながら、その他の債務を整理する手段として個人再生手続における「住宅資金特別条項(住宅ローン特則)」という制度を利用する方法があります。
実際には、債務返済不能の「おそれ」がある状態ではあるものの、一定の安定した収入があり、毎月の弁済原資がある程度確保できる場合に、住宅ローンを除く債権者への総返済額については減額して弁済し続ける一方、「住宅資金特別条項」を利用することで、住宅ローンについては他の債務とは別扱いとし、これまでどおり返済し続けることで住宅を残す方法となります。
但し、当該手続きを利用する場合は「一定の条件」を満たす必要性があり、条件自体、非常に複雑になっていますので、当手続きを利用し、住宅を残すことを検討される場合は、弁護士にご相談いただき、条件をクリアするかを判定してみることをお勧めします。
まとめ
上記はあくまで一例です。
任意売却を完了させて代表者が現在の自宅に住み続けるには、不動産の状況をしっかりと把握し、買付者や抵当権者等との円滑なやり取りが必要になってくることから、簡単なことではありません。
そのため、ご自身で進められる前に、まずは、弁護士へご相談の上、連携をとっていただきながら、進めていただくことをお勧めいたします。
破産申立をしても自動車を使い続けることは可能か
「不動産(自宅)」に引き続き、依頼者の今後の生活にも影響を与える得る重要な財産、『自動車』に焦点を絞り、「破産申立をしても自動車を使い続けることは可能か」をテーマに解説します。
破産申立した場合に自動車を使い続けることは可能か
原則、申立人の所有財産については、破産手続きのなかで換価処分の上、債権者への配当原資となることから、『所有者』として今後継続して使用することはできません。
しかし、「自動車」は自宅以上に、依頼者の方が今後新たな人生を踏み出す上で、再就職や日々の生活においても欠かせないものであるため、何とか手元に置いて置きたいと考える重要な財産でといえます。
では、実際に自動車を手元に残し、使い続ける方法は無いのでしょうか?
結論から申しますと、状況や手段によって、いくつか方法はあります。
実際に破産手続き上で行われる方法を、以下、いくつかご紹介します。
(1) 親族や知人の買取りにより継続使用する方法
親族や知人等に自動車を購入してもらい、無償で使用させてもらう方法です。
具体的には、買取業者2、3社から相見積もりを取り、それよりも高い金額で親族等に購入してもらいます。
破産管財人が行うはずの換価行為を事前に行い、破産管財人の手間を省いて配当しやすい状態での財産(自動車の売却代金)を引き渡すことになる訳ですから、不当に安く処分しない限り(そのためにも、上記相見積もりが必要となります。)、基本的に問題になることはありません。
(2) 自由財産拡張財産として許可されることにより継続使用する方法
価値がないと判断されやすい車両(初年度登録より7年以上経過した年式の古い車両や走行距離が数十万km以上の自動車等)が主な対象となりますが、破産手続き上において換価されずに自由に使用し続けることを許される自由財産(現金にして最大99万円)の許可申請を踏んで、『所有者』のまま、使用し続けることができる方法です。
但し、価値がない車両であっても、会社名義の場合には、あくまで会社の財産となりますので、別途管財人から買い取る必要があります。
また、自身で価値が見込めないと判断していたとしても、念のため、買取業者による買取査定を行うことをお勧めします。
なお、この方法はあくまで、破産管財人(裁判所)の判断に委ねられる部分も大きいため、仮に換価処分を行ったとした場合の換価金額が、自由財産拡張の上限である99万円(但し、現金その他拡張対象財産を含む総額としての金額)を下回ったとしても、自由財産を認めてもらうために、換価金額分の金額を別途破産財団に組み入れなければならない場合もあります。
〔補足〕自由財産として認められるまでの車両使用について
最終的に自由財産として認められるまでは、破産財団とみなされる可能性もある(換価処分権は破産管財人にある)ことから、本来は使用せずに保管しておく必要があります。
しかし、現実的には日々の生活のために使用せざるをえない場合が多々あると思います。使用の際は無理をしない範囲に限ることとし、不当に財産を減少させる可能性もありますので、事故にはくれぐれもご注意ください。
(3) 債務承継により継続使用する方法
この方法は、上記(1)(2)とは異なり、『所有者』ではなく、『使用者』の立場で自動車の使用を継続する方法で、ローンの残った自動車を手元に残す方法です。
分かりやすく申しますと、親族等がローン会社(車両所有者のことが多い)とローン組換えによる再契約をし、親族等が代表者の債務を承継(引き受ける)する方法です。
この方法によって、親族等にローンが引き継がれ、破産者の手元に(親族等の了承の上で)車両を残すことが可能となります。このようにして、破産者は『使用者』としてこれまでどおり自動車を継続して使用することができます。
但し、ローン会社(債権者)の合意の下で手続を進めなければならないことから、交渉その他の対応は慎重に進めなければなりません。
ローン車両は通常であれば所有権留保が付き、「所有者=ローン会社」となるため、破産手続き上の換価対象となる破産財団とはみなされないことから、上記の方法を取ることができます。しかし、銀行系のマイカーローンなど、稀にローン車両であっても「所有者=代表者」の場合があるため、その際は、上記(1)(2)のような方法による対応が必要になるため、必ず自動車登録検査証を確認の上、ご対応下さい。
まとめ
上記に挙げた方法が全てではありませんが、これら3パターンの方法で共通していえることは、買付者、査定業者又は債権者等多くの関係者との円滑なやり取りと協力が必要不可欠であるということです。
まずは、自動車登録検査証における所有状況と継続使用に関するご自分のお考えを弁護士に相談いただき、弁護士主導の下、手続きを進められることをお勧めします。
破産申立依頼以降(直前期を含む)の注意事項
破産申立を弁護士に依頼した以降(直前期も含む)、手続を円滑に進める上で依頼者の方にご注意いただきたい事項について解説します。依頼者の方が陥りやすい落とし穴にもなりますので、是非ご確認ください。
破産申立受任期以降における注意事項
まず、破産手続きにおいて、最も注意すべき行為について説明します。
否認や免責決定に影響を及ぼす行為として、特にご注意いただきたいのが、以下の3つです。
(1) 偏頗(へんぱ)弁済
債権者間の平等を害する行為で、特定の債権者だけが弁済を受けたり、担保の提供を受けたりする行為です。
具体例
- ・特定の債権者への支払い(通帳引き落とし、振込、カード決済等全て含む)
- ・労動者を含め、一部の債権者に対する身勝手な支払いの約束
- ・特定の債権者との勝手なやり取り
偏波弁済を回避するための主な対応策
- ・口座引落のある口座残高をできる限りゼロにし、引落しをできなくする。
- ・直接的な取立てに対しても、勝手に応じない。弁護士に連絡するよう促す。
- ・ビジネスダイレクト等の早めの解約。 等
(2) 詐害行為
債務者の財産を安く売却したり、多額の債務を負担したりして債務者の全体財産を減少させるなど、全債権者を害するような行為です。
具体例
- ・所有物を不当に安く処分する行為(譲渡、売却、隠蔽、廃棄等)
- ・新たな借入(クレジットカード、ETCカード、等の利用含む)
詐害行為を回避するための主な対応策
- ・売却する際は相見積もりを取るなど、正当性のある価格で売却する。
- ・役員等に手渡っている会社名義のすべてのカード類を回収する。
- ・カード引落しとなっている光熱費の支払手段をコンビニ払い等へ変更する。等
(3) 無償行為(無償でご自身の財産や他人の財産を受けたり、譲ったりする行為)
破産者が行う何の対価も得られない行為です。
具体例
- ・贈与や無償での保証債務の負担行為など。
- ・所有物件及び賃借物件の他者への貸出や無償利用許可
無償行為を回避するための主な対応策
- ・賃借物件については、自宅の場合を除き、鍵を代理人へ預け、可能な限り早めに明渡しする。
- ・「無償で利用させる」など勝手な約束をしない。
なお、やむを得ず上記(1)~(3)の行為を行ってしまった場合には、すぐに弁護士にご相談下さい。これらの行為を隠して申立てを行なった場合には、免責が受けられなくなるなどの不利益を被る可能性が高まります。
その他の注意事項
その他、以下のような場合に当てはまると、破産手続において様々な形で障害が生じ、手続きが円滑に進まない可能性がありますのでご注意ください。
- ・自分や他人の利益を図っている場合。
- ・債権者を害する目的がある場合。
- ・特定の債権者に特別の利益を与える目的で担保を提供したり、弁済期前に弁済するなどした場合。
- ・債権者の不利益になるように破産財団を隠したり、わざと壊したり、処分した場合。
- ・浪費やギャンブルのために借金したり、著しく財産を減少させ、又は過大な債務を負担した場合。
- ・株や先物投資のために借金した場合。
- ・業務や財産に関する帳簿、書類などを隠したり、偽造したり、変造したような場合。
- ・返済不能であることが明らかな事を隠して借金した場合。
- ・支払能力がないのに、信用取引により財産を得、著しく不利な条件でこれを処分した場合。
- ・借金の額などについて偽証を行った場合。
- ・裁判所(裁判官)へ偽証を行った場合。
- ・以前、自己破産・民事再生の申立をして免責が許可されてから7年以内に再度自己破産の申立てを行ったような場合。
- ・破産法の定める破産者の義務に違反した場合。
例:破産開始決定後、裁判所の許可なしに居住地を離れる行為(住所移転許可が必要) - ・免責の審理期日に無断で欠席、出席しても陳述を拒んだ場合。
- ・親族等からの「援助」以外の、返済する等の約束をして新たな借入をした場合
まとめ
普段の生活では問題とはならないことであっても、破産手続(準備期間を含む)に入ってしまうと何気ない行為が破産手続の障害となってしまうことが多くあります。
そのような障害を未然に回避するためにも、お早目に弁護士へご相談いただき、様々な可能性を考慮しながら対応できる体制を整えることが重要です。
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